五時を7ページ試し読み|山本直樹







本日の順位5位
- 前日比
- ▼ 3
- 過去最高
- 2位
- ランクイン
- 3日
- 初登場
- 2026-07-28
- 2位07-28
- 2位07-29
- 5位07-30
編集部レビュー
捨てられていく大量の本と、決して足を踏み入れてはならない二階――日常の中に置かれた二つの異物が、何かが起きる直前のような緊張をまとっています。さらに気になるのは、ブラインドを境に世界が分断されていること。向こう側には走り回る者たちの足音と歓声があり、こちら側には「わたし」がいる。その隔たりが誰によって、何のために作られたのか、静かな語り口の奥へ想像が引き込まれます。
「わたし」は今日も遮られた側にとどまり、見えない場所の気配だけを受け止めています。二階の禁忌と処分される本は結びついているのか、向こうを駆ける「やつら」は何者なのか。そして、時刻を尋ねる短い問いは、この閉ざされた状況にどんな意味を与えるのでしょうか。説明されていない事柄が互いに不穏な輪郭を補い合い、境界が破られる瞬間を待たずにはいられません。併録の短編「七時」や限定特典の下描き集も、作品世界と創作の両面に触れられる構成です。
見せない二階、視界を塞ぐブラインド、姿より先に届く足音と歓声という要素からは、画面の外側まで意識させる演出がうかがえます。覚醒と静けさを同居させる作品として紹介されているだけに、穏やかな表面の下で違和感がどう形を変えるのかも見どころでしょう。「こちら側」にいる彼女が最後まで守ろうとしているものは何なのか、その答えは境界の先を読み進めて確かめたくなります。
作品情報
- タイトル
- 五時
- 作者
- 山本直樹
- 試し読み
- 7ページ